2004 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児における保持聴力の活用に関する発達的研究
Project/Area Number |
03J06417
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
杵鞭 広美 東京学芸大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 聴覚活用 / 楽音の音系列 / 聴覚記憶 / 学習障害児 / NIRS法 |
Research Abstract |
本研究は,楽音が聴能の発達および知的発達に果たす役割や機能を認知心理学と音響学と関連づけて、実験的に明らかするための研究である。学習障害児(以下、LD児)において、短期間の音響情報の保持とその記憶に著しい困難さを示す児がいることが指摘されていることから、本年度は、下記の研究を実施した。 1)学習障害、ADHDなどの軽度発達障害をもつ児童を対象として、楽音の音系列を用いた聴取実験を行い、昨年度に実施した聴取実験データを含めた分析作業を行った。 2)昨年度に引き続き、短期間での聴覚記憶に困難さをもつLD児を対象に、楽音の音系列を教材として月1回の指導を行った。具体的には、LD児の聴覚記憶を促進できる音系列について、対象児に提示する項目数や提示時間、および提示順序などを変えながら、個別指導をとおして、対象児の聴覚記憶を促すための具体的な支援方法を探った。そして、個々の聴覚活用の発達レベルの評価とその発達レベルに即した指導を行うための、具体的な指導プログラムの考案を試みた。 3)非侵襲的な脳機能測定法のひとつであるNIRS法を用いて、健常な成人を対象に、楽音の音系列の聴取時における脳血流動態について測定し、その賦活部位を検討した。その結果、楽音の音系列聴取時においては、音声言語の聴取時とは異なる部位においても賦活が認められることをNIRS法においても明らかすることができた。これより、楽音の音系列が聴覚障害児や軽度発達障害児の聴能の発達を評価、支援できる音響信号であることを指摘できた。 上記の本年度における研究成果は,日本特殊教育学会,日本LD学会,日本臨床神経生理学会,日本発達心理学会,日本ヒト脳機能マッピング学会の研究大会において発表し、これらの当該学会においては、今後に検討すべき研究課題について具体的な議論を行うことができた。
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Research Products
(1 results)