2003 Fiscal Year Annual Research Report
Wee1キナーゼのドメイン解析と相互作用因子の同定
Project/Area Number |
03J07582
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡本 健吾 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞周期 / アフリカツメガエル / Wee1 / Cdc2 / MPF |
Research Abstract |
細胞の分裂・増殖は、G1/S/G2/M期からなる細胞周期を通じておこる。G2期からM期への進行はCdc2/サイクリンB複合体であるM期促進因子(MPF)による制御を受けている。Wee1キナーゼはCdc2のTyr15をリン酸化することでMPFの負の制御因子として働いている。 一般に、Wee1はN末端側に長い調節領域(N-terminal regulatory domain ; NRD)を有する。 ツメガエルWee1B(体細胞型Wee1)のNRDには、そのCdc2 Tyr15リン酸化能を正および負に制御する調節部位(それぞれNINモチーフおよびTPモチーフと命名)が近接して存在し、これらの部位がWee1A(母性型Wee1)や他種のWee1でも高度に保存されていることを見いだした。ツメガエル卵無細胞系を用いてこのTPモチーフのリン酸化時期を調べたところ、M期に強くリン酸化されることが分かった。さらにin vitroキナーゼアッセイの結果より、このTPモチーフはCdc2/サイクリンBによって直接リン酸化されることが分かった。 TPモチーフのAla置換体(AP)は、野生型(WT)より著しく強いM期阻害活性を示した。しかし、WTとAP変異体の(自己リン酸化能を指標とした)基本酵素活性には有意な差はみられなかった。また、Cdc2/サイクリンBとの結合能においてもWTとAP変異体の間には差がみられなかった。これらの結果から、M期においてWee1はTPモチーフの(Cdc2によるフィードバック)リン酸化で何らかの構造変化を起こし、その結果、Cdc2 Tyr15のリン酸化能(従ってM期阻害活性)が低下すると考えられた。 以上の結果より、M期におけるWee1の不活性化は、NRDの負の制御部位であるTPモチーフのMPF自身によるフィードバックリン酸化によって制御されていることが強く示唆された。
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