2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア内膜タンパク質の小胞体標的化回避およびトポロジー形成の分子機構
Project/Area Number |
03J07976
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 恵美 九州大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / 小胞体 / import / targeting / signal sequence / SRP |
Research Abstract |
【研究目的】 非常に疎水性の高いABCトランスポーターのミトコンドリア型アイソフォーム、ABC-meがシグナル認識粒子(SRP)による小胞体標的化を回避し、ミトコンドリア外膜を完全に透過し、内膜に組み込まれるまでの一連の課程を明らかにする。 【研究成果】 1.培養細胞でtransientに発現させたABC-meはミトコンドリア内膜に局在し、N末端が切断された。 2.N末の140アミノ酸残基(N140>を削除するとすべての分子は小胞体膜に組み込まれ糖鎖付加を受けた。 3.小胞体膜で組み込まれるABCトランスポーターのMDR1や分泌小胞膜タンパク質synaputotagminIIは、N末端にN140を付加することによりミトコンドリアに局在化し、細胞質側からのプロテアーゼ耐性を示した。 4.ABC-meのN140のかわりにアドレノドキシンやオルニチントランスカルバミラーゼ、のmatrix行きのプレ配列をつないでも効率の良いミトコンドリア標的化は達成されなかった。 5.in vitroでN140を削除した分子は、単離した小胞体膜へ組み込まれ効率よく糖鎖付加を受けたのに対し、N140を持つ分子は小胞体膜へ標的化できず、生理的塩濃度でも可溶性画分に回収された。 6.化学架橋剤を用いた実験でN140を削除した分子も、N140が存在する分子もSRPと疎水性セグメントの架橋が検出された。 【結論】 N140はミトコンドリアの膜タンパク質にとどまらず、翻訳と同時に膜に組み込まれる小胞体の膜タンパク質をもミトコンドリアに局在化できるシグナルである。 N140はSRPによる疎水性セグメントの認識を阻害していないが、小胞体膜への標的化は阻害していることから、SRPとSRP受容体の相互作用を阻害することにより、ABC-meは小胞体標的化を回避していると考えられる。
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Research Products
(1 results)