2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨関節系細胞に発現するγ-アミノ酪酸シグナリング機構解明に関する先端的研究
Project/Area Number |
03J08634
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤森 さゆ美 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 骨芽細胞 / GABAレセプター / GABAトランスポーター / baclofen / Ca^<2+>蓄積 / [^3H]GABA取り込み |
Research Abstract |
ラット頭蓋冠由来初代培養骨芽細胞において、中枢神経系に存在するGABAシグナリング機構関連分子のmRNA発現を解析した結果、メタボトロピック型GABA_Bレセプターを構成するGABA_BR1aおよび1bサブユニットや、GABAトランスポーターGAT-3およびBGT-1サブタイプについて、恒常的なmRNA発現が明らかとなった。GABA_BRについては、GABA_BR1a,1bの蛋白質発現が認められただけでなく、細胞内cAMP濃度に対する調節能が観察された。GABAあるいはGABA_BRアゴニスト(R)-baclofenを長期間暴露した骨芽細胞では、骨芽細胞初期分化マーカーであるALP活性や石灰化マーカーであるCa^<2+>蓄積が、ともに著しく抑制されることが明らかとなった。したがって、骨芽細胞に発するGABA_BRは、骨芽細胞の分化あるいは成熟過程において抑制的制御に関与する可能性が示唆される。一方、[^3H]GABA取り込み活性解析の結果から、少なくとも培養初期の骨芽細胞には温度依存性およびイオン依存性を示すGATが存在するが、その薬理学的性質は脳内のGAT-3サブタイプと類似することが判明した。しかしながら、[^3H]GABA取り込みのKm値が10倍程度大きいこと、および分子やグリカナーゼ感受性に相違が認められることから、骨芽細胞に発現するGAT-3は脳に発現するGAT-3とは性質が異なる可能性が考えられた。本年度の研究から、中枢神経系に認められるGABAシグナリング分子のうち、GABA_BRとGAT-3がラット頭蓋冠由来初代培養骨芽細胞において機能的に発現して、骨芽細胞の分化、増殖あるいは成熟過程で、特定の生理的役割を担う可能性が推察される。今後は、骨組織におけるこれらGABAシグナル分子の存在意義について追究する予定である。
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