2003 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖生態系循環式養殖システムにおける環境制御技術の確立とその応用に関する研究
Project/Area Number |
03J08955
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
遠藤 雅人 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部海洋生物資源学科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 閉鎖生態系 / 循環式養殖システム / 生物餌料 / 動物プランクトン / 微細藻類 / 魚類仔稚魚 / 物質循環 / ガス交換 |
Research Abstract |
本年度は微細藻類-動物プランクトン間の栄養塩フィードバック実験をクロレラ、Chlorella vulgarisとタマミジンコMoina macrocopaを用いて行ったが、微細藻類の十分な増殖を得ることができず、十分なタマミジンコの培養ができなかった。この主な原因としてはタマミジンコ排水によるコンタミネーションが考えられ、排水の滅菌が必要であることがわかった。また、タマミジンコの酸素消費量の測定を行った結果、飼育水温依存的な値が得られ、25〜30℃では約2mgO_2/g湿重量/hであり、飼育水中の溶存酸素量の低下に伴い、酸素消費量も減少することもわかった。 次に魚類-微細藻類間のガス交換を目的として再生循環型魚類飼育実験装置の実験を行い、その結果を基に本装置の小型実験装置の設計・製作を行った。再生循環型魚類飼育実験装置のガス交換実験ではクロレラおよびティラピアOreochromis niloticus幼魚を用いて実験を行い、2週間の生命維持に成功した。また、安定したティラピアへの酸素供給にはクロレラの増殖、すなわち、バイオマス生産量が一定以上であることが重要であり、クロレラの培養段階を多段階にすることでこの系を定常的に維持できることも実証した。次に本装置の実験結果を踏まえて小型実験装置の設計・製作を行った。小型実験装置は魚類飼育槽(約1.5L)、沈殿槽(約0.8L)、濾過槽(約0.8L)、気液混合槽(約0.5L)、動物プランクトン培養槽(約1L)、微細藻類培養槽(約2.5L)、配管類、循環水ポンプおよび送気ポンプからなり、総容積10L以下である。本年度は循環水および送気の物理的な性能を調査し、正常に動作することを確認した。また、本年度は装置の製作に期間を要したため、実際に本装置による生物を用いたガス交換生命維持実験を行うことが不可能であった。実験については来年度行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 竹内俊郎, 遠藤雅人: "閉鎖循環式養殖システムの最近の進歩"生態工学. 16(1). 15-20 (2004)
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[Publications] 遠藤雅人, 竹内俊郎: "ティラピア仔稚魚における摂時可能なタマミジンコの選別"生態工学. 16(1). 65-68 (2004)