2004 Fiscal Year Annual Research Report
『詩経』および出土史料による先秦時代の婚姻・家族研究
Project/Area Number |
03J10264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小寺 敦 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 周公廟遺址 / 二里頭遺址 / 中国殷商文明国際学術研討会 / 北京大学考古文博学院 / 出土資料 |
Research Abstract |
本年度は北京大学考古文博学院に1年間滞在し、資料の収集・調査に専念した。その中でも特筆すべきは、7月末に河南省安陽市で開催された中国殷商文明国際学術検討会に参加したことである。その学会期間中および直後の8月には中国側のご好意により、昨年末から本年5月ごろにかけて新発見のあった周公廟遺址を見学させていただいた。そこでは先周(商代末期)から西周初期にかけての大規模な城郭・陵墓群を調査することができ、更には出土した甲骨を閲覧させていただけた。周公廟遺址の発見は、殷墟以来ともいわれるほど貴重かつ大規模なものであり、発掘には莫大な費用と時間がかかるものと推測されている。この発見は、謎の多かった先周から西周初期にかけての史実を解明し、これまでの学説に修正を迫るものとなるであろう。出土した甲骨には「周公」という文字が彫ってあるものがあったが、周公旦は宗法的家族倫理に大きな影響を与えた儒家が崇拝した人物であり、私が進めている先秦家族史研究にも影響を与える可能性がある。また周公廟と同時に、最近大規模な都城跡が発掘された偃師二里頭遺址(中国では夏から商代初期とされる)や、偃師商城(商代初期)、鄭州商城(商代初期)、安陽殷墟(商代末期)、周原遺址(先周から西周初期)など、二里頭期から周代にかけての数多くの貴重な遺跡を見学させていただくことができ、しかも通常は閲覧不可能な多くの貴重な出土資料を直に見せていただいた。そして多くの中国大陸をはじめとする海外の研究者との交流を行うことができた。そして他にも、上海博物館や南京博物院など、中国各地の博物館・研究施設を訪問し、資料の収集・調査を行った。
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