2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11586
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小笠原 桂一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | APD / アバランシェフォトダイオード / 半導体検出器 / 電子計測 / ディフューズオーロラ / オーロラ電子 / 観測ロケット / S-310 |
Research Abstract |
宇宙空間における電子観測データの谷間となっている10〜100keVのエネルギー領域の新型電子センサーとしてのAPDの開発を行うことが本研究の目的である.電子検出用APDの開発にはいくつか課題が残されているが,本年度はまず(株)浜松ホトニクス製のAPD素子(Z7966-20)を用いて,温度環境に対する素子の応答を較正する実験を行った.このAPD素子は40Kの温度変化に対しておよそ2倍の出力を示し,宇宙空間ではフィードバック制御が必要である可能性が示された.この結果を2003年11月に行われた地球電磁気・地球惑星圏学会第114回講演会で発表した.またもう一つの環境試験としては,APDと従来の電子検出素子であるCEMの検出効率の比較実験用に真空チャンバーおよび周辺設備環境を整え,現在試運転中である. さらに私は3-50keVのオーロラ電子をターゲットとして,JAXA宇宙科学研究本部のS310-35観測ロケットにAPDを用いた新しい電子計測器を搭載予定である.ロケットは2004年12月にノルウェーのアンドーヤロケット試験場より打ち上げられるが,現段階で計測器の設計はほぼ終了しており,今後は製作,較正を行って打ち上げに備える.このロケット実験での観測は,飛翔体を用いたAPDの電子観測として初めて行われるものであるだけでなく,オーロラ降下電子はAPDの技術試験には適正なエネルギーレンジであるので技術試験として好機会である.付け加えて,APDにはその宇宙空間利用に際し温度依存性と放射線耐性という2つの難関があるが,温度環境に関しては実験結果を十分踏まえて設計を行った.また放射線ダメージに関しては,今回は観測時間の短さからそれほど問題にならないだろう.なおこのロケット実験とそれに付随して予想される地球物理的成果について,地球電磁気・地球惑星圏学会第114回講演会で発表した.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 小笠原桂一, 浅村和史, 齋藤義文, 向井利典: "固体検出器による1-100keV電子計測技術の研究"地球惑星科学関連学会2003年合同大会. (学会口頭発表). (2003)
-
[Publications] 小笠原桂一, 浅村和史, 齋藤義文, 向井利典: "固体検出器による1-100keV電子計測技術の研究"地球電磁気・地球惑星圏学会第114回講演会. (学会発表). (2003)