2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞と免疫細胞の相互作用におけるテレンセファリンの機能解析
Project/Area Number |
03J11800
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 さなえ 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海馬ニューロン / ミクログリア / テレンセファリン / direct contact |
Research Abstract |
本研究は、海馬ニューロンの樹状突起とミクログリアの接着に着目し、海馬損傷後に海馬ニューロンの樹状突起とミクログリアの接触が増加するか、その接触にテレンセファリン(TLCN)が関与するかという問題について、野生型(WT)マウスとTLCN欠損(KO)マウスを用いて検討した。 微量のカイニン酸(KA)を海馬に局所投与し、海馬ニューロンの損傷とミクログリアの活性化を促した。海馬ニューロンの樹状突起とミクログリアの接触に関しては共焦点顕微鏡を用いて免疫組織化学的に解析した。コントロールとして、何も投与しないマウスを使用した。 WT、KOマウスにおいて、CA1ニューロンの損傷と放線状層のミクログリアの明らかな形態変化はKA投与1日後から起こり、3-5日後には放線状層の活性化ミクログリアがコントロールより有意に増加した。WT、KOマウス間でミクログリアの密度に有意な差は見られなかった。 WT、KOマウスにおいて、コントロールマウスにおける休止状態のミクログリアは、細く長い突起を持ち、その一部において樹状突起と小さな接触(<2.5μm)を持った。KA投与3日後のマウスにおける活性化ミクログリアは、多数の太く短い突起を樹状突起と接触させた。一部の活性化ミクログリアは、樹状突起と長い接触(>2.6μm)をつくった。接触の長さにより接触数に荷重をかけ、樹状突起とミクログリアの荷重接触密度を調べた結果、KA投与3日後には、コントロールより有意に荷重接触密度が増加した。WT、KOマウス間で、荷重接触密度の値に有意な差は見られなかった。 以上の結果により、海馬損傷後に樹状突起とミクログリアの接触が増加すること、その接触はTLCN非依存的に起こることが示された。接触の増加は相互作用の増加を意味すると考えられる。細胞間接着を伴う相互作用がニューロンにどう作用するのか、また、TLCNを介してニューロン側に入力されるシグナルの可能性とその機能について、今後の研究の焦点となる。
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