2003 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル遊牧民の定住化に伴う階層分化―新たに形成された宗教的共同体を手がかりに―
Project/Area Number |
03J52121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝澤 克彦 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宗教 / 貧困 / 階層形成 / 遊牧 / 定住化 / 移住 / 都市化 / 生活空間 |
Research Abstract |
平成15年12月に、東京外国語大学、国立民族学博物館、国立国会図書館において地図や新聞記事などモンゴル国の宗教・社会事情に関する基礎資料を収集した。 平成16年1月16日から3月19日にかけて、モンゴル国においてフィールドワークを行った。フィールドワークでは、首都ウランバートル市において比較的貧困層が多く住んでいると見られている通称「ゲル地区」と呼ばれている地域を対象に、一般住民および当該地域で活動する宗教集団から聞き取り調査を行い、同時に、国家統計局、都市計画局などの関係諸機関から基礎資料を収集した。ゲル地区とは遊牧民の伝統的住居「ゲル」を利用した住宅の集まりを指すが、ウランバートル市のゲル地区と比較するために、地方都市および地方村落におけるゲル地区の調査を、2月15日から3月3日にかけてホヴド県のホヴド市およびオヴス県のザヴハン郡において行った。 ゲル地区における聞き取り調査では、遊牧から定住、地方から都市への移住、ゲルからその他の住居への移転などによる生活空間の変化が生活様式や宗教的習慣に与える影響と貧困問題との関係について、ウランバートル市において約50世帯、ホヴド市において約20世帯、ザヴハン郡において約10世帯の聞き取り調査を行った。 国家統計局や都市計画局など関係諸機関からは、人口の推移、移住の様態、地区別のインフラ整備状況、犯罪数、居住形態などに関する統計資料を入手し、同時にそれらの概要に関する聞き取りを行った。 現在、調査で得られた資料をもとに「都市化と定住化に伴う階層形成」の実態を分析し、同時に、その分析結果を基にしたアンケート調査の準備を進めているところである。
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