2003 Fiscal Year Annual Research Report
団地型公共集合住宅におけるエイジング効果を考慮した外装美観の改善手法の確立
Project/Area Number |
03J52981
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松山 祐子 東京都立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市建築ストック / 団地型公共集合住宅 / 外装美観の改善 / エイジング / れんが風タイル仕上 / 塗料仕上 |
Research Abstract |
本研究は,都市建築ストックに関する更新技術の一手法として既存住宅建築物の改修において単なる外壁補修・塗替え等だけではなく,今後の長期的な建築の維持及び景観の向上,エイジング(年月の経過に伴い景観的な質が向上する働き)を考慮し,新たな価値を創出する外装美観の改善手法を提案することを目的とし,特に築後30年以上経過している団地型公共集合住宅を対象として外装改修計画を検討した。 平成15年度は,既存団地型公共集合住宅の外装の特徴及び問題点に関する実測調査を行った。その結果,以下のことが示された。 ・V字型・直線に配置された中低層の2(〜)棟が8列並び,外側に高層が3棟配置。 ・近年における改装は見られず全体的にかなり汚れが目立つが,部分的塗替えや改修(2棟)が見られる。 ・低層の外装仕上は塗料であり,ベースカラーは薄いイエローベージュ,ベランダ側にアクセントカラーとしてライト系の色がライン状に配色。 ・高層(筒型)はタイル張り・塗料(ベランダ)・打放し(EV・階段)の複合仕上であり,白色タイル・灰目地を使用し,破れ目地仕上。また,塗料部分の色彩は中低層ベースからと類似色。 ・高層(箱型)の外装仕上はタイル張り・塗料・打放し等の複合仕上となっており,建物全体的に黒灰色の汚れが付着。 実測結果をデータベース化し,中層箱型集合住宅に対して塗料及びれんが風タイル仕上の改善シミュレーション画像を作成し官能検査を行った。その結果,エイジング効果を得やすいれんが風タイル仕上は,古く落ち着きがあり好ましいと評価される色彩構成のものが多く,長期的な建築の美観維持に関して望ましい仕上であるといえる。また,塗料仕上に関しては劣化の状態により好ましさの評価にばらつきが見られ,色彩状態に注意を有する仕上であるといえる。 今後は,上記に加えエイジング効果を得やすい仕上に関して,様々な色彩状態を考慮し検討を行う必要がある。
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Research Products
(1 results)