2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61521
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名黒 功 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | L型カルシウムチャネル |
Research Abstract |
カルシウムチャネルから流入するカルシウムイオンは細胞にストレスや死をもたらす一方、細胞の増殖、分化、遺伝子・タンパク質の発現など様々な生理機能に必須のシグナル分子である。近年、カルシウムシグナル伝達機構の異常に伴う細胞増殖の亢進や分化度の変化は発癌、癌の悪性度に関与する可能性が示唆されている。そこで、本研究では細胞の分化過程におけるカルシウムシグナルの役割、特にL型カルシウムチャネルの果たす役割について明らかにすることを目的として以下の実験を行った。 分化過程を解析するモデル系として、マウスES細胞を心筋細胞に分化させる系を確立し、その分化過程におけるカルシウムハンドリング関連タンパクなどの時間的、空間的発現プロファイルを解析した。同時に胎児の胚について心筋の分化過程のタンパク発現を比較し、ES細胞から分化させた心筋細胞で再現されているか検討した。 L型カルシウムチャネルのα_<1C>サブユニットの細胞内ループ、カルボキシル末端に結合するタンパクをYeast two hybrid法により胎児のcDNAライブラリーから探索した。そこで同定したL型カルシウムチャネル結合タンパクの一つが胎児の心臓において発現していることを見出した。また、このタンパクは心筋に分化誘導したES細胞に発現してくることを明らかにした。さらに、培養細胞発現系の実験により、このタンパクは細胞膜周辺に局在し、発現によりL型カルシウムチャネルの電気生理学的性質が変化することを明らかにした。これらの結果から、同定したタンパクは、L型カルシウムチャネルの性質を変化させることで、心筋への分化過程におけるカルシウムシグナルに関与している可能性が考えられる。
|