2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61560
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中川 豪 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動物の模様 / 反応拡散モデル |
Research Abstract |
研究計画であるトランスポゾンを利用した模様変異のスクリーニングは進行中であるが結果はまだ出ていない。現段階で、反応拡散モデルに相当する候補分子としてα-MSH、agouti分子に注目している、どちらも皮膚に分布し、細胞外に分泌されるシグナル分子である。まず、agouti分子についてさまざまな模様のある動物で、遺伝子レベル、タンパクレベルでの存在様式を調べるために、モデルを選び、その分布に迫ろうとしている。 モデルに使用したのは、ゼブラフィッシュ、ニワトリ、ゼブラマウスである。この解析を始めたころは、ヒト、マウスでagouti遺伝子の存在が確認されており、マウスにおいては毛の周期に同期するように発現していることが確認されている。そこでDegenerated PCR法を用い、まだ確認されていなかったゼブラフィッシュ、ニワトリなどでクローニングを試みたもののなかなかうまくいかなかった。 ゲノムやESTのデータが更新された中に、ゼブラフィッシュのagoutiらしいものがあることを黒川博士(養殖研)から情報を提供していただいた。その配列をもとに、ゼブラフィッシュの尾ひれから黒い領域と黄色い領域とで遺伝子の発現レベルで差があるのかreal-time PCRを用い測定したところ、黄色い領域は黒の領域と比べ5倍以上の発現量があることが確認できた。現在、どの細胞がagoutiを産生しているのか解析中である。また、この分子が機能しているのか、反応拡散としての分子としての役割を担っているのかを評価するために、トランスジェニックゼブラフィッシュの作成を準備中である。 また、ニワトリでもESTのデータベースによってagoutiが確認でき、その配列から、どこで発現しているのか、遺伝子レベルの解析を行っている。現在のところAgoutiシグナルはマウスにおいて一本の毛の中での色素細胞の分化転換の分子だと考えられているが、動物の模様を反映するように発現しているのであるならば、広く色素細胞の分化転換・決定(細胞運命決定)に働いているのではないかと考えられる。
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