2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61561
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井原 基公 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Wntシグナル伝達 / SUMO化 / Tcf-4 / β-catenin / PIASy / Axam |
Research Abstract |
私はこれまでにWntシグナル伝達経路においてSUMO化のE3リガーゼPIASyと脱SUMO化酵素Axamが、TCF-4の転写活性を制御することを明らかにしてきた。本研究では、SUMO化によるTCF-4活性化の分子機構の解明と、Wntシグナル伝達におけるSUMO化の他の標的分子を同定することを目的としている。今年度に得られた知見は下記のとおりである。 1)PIASyはSUMO-1によって特異的にSUMO化されたが、SUMO-3によるSUMO化はほとんど認められなかった。また、SUMO-1はPIASy依存性のTcf転写活性を促進したが、SUMO-3は促進しなかった。さらに、PIASy自身のSUMO化によってTcf-4のSUMO化が促進され、Tcfの転写活性を促進した。 2)非共有結合によるSUMOとの結合を検討した結果、PIASyはRINGドメインを含むC末端でSUMO-1およびSUMO-3と結合したが、SUMO-1よりもSUMO-3が強く結合した。AxamはSUMO-3と結合するが、SUMO-1とは結合しなかった。PIASyやAxamとSUMO-3との非共有結合はTcf転写活性に影響しなかった。 3)SUMO-3と非共有結合できないAxam変異体を作製し、Axamの機能とSUMOによる非共有結合との関係を検討した結果、Axam変異体はSUMO-3に対する加水分解活性が認められたが、SUMO-1に対する加水分解活性は認められなかった。また、Axam変異体にはSUMO-1に対する脱SUMO化活性が認められた。SUMOの非共有結合は脱SUMO化酵素の加水分解活性に必要であることが示唆された。 これらの知見はSUMO化によるWntシグナル伝達経路の制御機構の一端を明らかにしたものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamamoto, H.: "Sumoylation is involved in β-catenin-dependent activation of Tcf-4"EMBO J.. 22・9. 2047-2059 (2003)
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[Publications] 井原 基公: "分子細胞治療"先端医科学社. 3 (2003)