1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610058
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
石田 雅人 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (10101263)
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Keywords | 部分強化消去効果 / 過剰訓練逆転効果 / 学習機構 / 系統発生 / 報酬量 / 直線走路 / T型弁別箱 |
Research Abstract |
爬虫類は学習能力の系統発生上重要な位置を占めると仮定される。本課題では被験動物として祖先型を構造的に最も残しているカメを用い、学習の逆説現象の生起を調べることにより、学習機構を推定しようとした。今年度は(1)報酬に関する逆説現象としての部分強化消去効果(PREE)、(2)弁別学習における逆説現象としての過剰訓練逆転効果(ORE)を検討した。 (1)に関しては、カメを被験体とする場合、訓練試行の分散が現象生起の決定因か否かが問題とされているので、1日1試行という極度の分散条件のもとで、直線走路を用い、PREEさらには報酬量移行による負の対比効果(SNCE)、小報酬での連続強化訓練が消去抵抗を高めるという効果(MREE)を同時に調べた。その結果、(1)部分強化は消去を遅らせ、消去ではPREEは見いだされなかった。(2)連続強化訓練で報酬量を変えても消去抵抗には差が見られなかった(MREEなし)。(3)連続強化事態で報酬量を大か小へ移行した場合には、一貫して小報酬の群の遂行水準へ収束し、SNCEは見られなかった。これらの結果はラットよりもサカナ(キンギョ)に類似した結果である。 (2)に関しては、位置課題でT型弁別箱を用い、過剰訓練量を2水準にしてOREを調べた。過剰訓練の2群(OT1,OT2)と基準群(C)いずれも原学習、逆転学習双方の完成試行数において統計的な差は有意ではなかった。しかしOT両群はわずかながら逆転完成が速かった。ラットでは位置課題でOREが報告された研究例が少なく、サカナは同課題で逆OREを示すとの報告があるので、カメのこの結果はサカナよりもラットに近いと言え、前述(1)とは反対の傾向であるが、OREについては視覚課題での検討を待って種間比較あるいは機構の推定をする必要があり、今後の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masato Ishida: "Spaced training and instrumental performance in the turtle (Geoclemys reevesii)" Memoirs of Osaka Kyoiku University. 41(2). 153-161 (1993)
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[Publications] 石田 雅人: "学習の逆説現象からみた脊椎動物と無脊椎動物の比較" 心理学評論. 35. (1992)