2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永井 和 京都大学, 文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAUCH Peter C. 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 野村吉三郎 / 日本海軍 / 日米交渉 / 太平洋戦争 |
Research Abstract |
研究分担者は、1941年の日米交渉において駐米大使であった海軍大将野村吉三郎の果たした役割およびその外交思想について再検討を行うことを、ここ数年間の研究テーマとしてきた。それは、開戦過程における野村の役割を過小評価する従来の議論に大幅な修正を加えることを目標とするものであった。 本年度においては、防衛庁防衛研究所図書館、海軍文庫、国立国会図書館、外務省外交史料館等に所蔵されている上記テーマに関する史料の収集とその分析に重点をおいて研究を進めた。その結果をふまえて、現在鋭意執筆中の野村の評伝的研究書、Sailor Diplomat : Nomura Kichisaburo and the Coming of the Japanese-American Warの第1,2,8,9,10章の草稿を練ることができた。この評伝は近い将来の刊行を目標としており、その第8,9,10章はほぼ完成しており、その内容を要約した論文は、杉田米行編『20世紀の日米関係におけるアジア太平洋戦争の意義』に掲載される予定である。 そのほか、平成16年6月、Asian Studies Conference Japan年次大会(上智大学)において「真珠湾としての『新しい歴史』:日米関係、1938-1941年と『新しい歴史教科書』」と題して口頭発表をおこなった。同発表は、Asian Cultural Studies(国際基督教大学)に掲載予定である。 さらに、野村吉三郎の御遺族の好意により、野村の旧宅に保存されていた史料を発見することができた。この史料類は主として戦後に野村が作成したものであるが、日本の海軍再軍備に関する、初出の史料としてきわめて貴重なものと推測される。この史料を整理するとともに、これを活用し、戦後に野村が果たした役割についても、研究の視野を拡大する予定である。
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