2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 直樹 京都大学, 人文科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG In-Sil 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 視覚メディア / 朝鮮 / 表象 / ジェンダー / オリエンタリズム |
Research Abstract |
本研究は日本における「朝鮮」「在日」認識を理解するため、キーワードとしてのオリエンタリズムに基づく「朝鮮」「在日」認識の系譜を明らかにすることを目指すものである。そのために、オリエンタリズム論とポストコロニアル論、表象論に関する基礎テキストを読み直し、「朝鮮」「在日」認識を分析するための理論的枠組みを考察・検討してきた。ここでは、文化社会学の基礎文献と学術雑誌の論文などを主な対象とした。また、近年、様々な分野からこの分野と関わる実績が研究成果として出ているため、関連研究成果の読み直しを行った。 そして、一次資料として戦前発行されていた映画雑誌と大衆雑誌などで「朝鮮」「在日」が登場する映画、新聞広告、マンガ、写真、ガイドブックのリストを作成し、新聞や雑誌などから関連記事を集め、映画のシナリオやフィルム、マンガ、雑誌の写真などにおける「朝鮮」「在日」像を調査した。 一方、日本国内では戦前の主な映画製作・配給会社であった東宝や松竹などがそれぞれ残されているフィルムのビデオ化、デジタル化を行なったり、国際社会において映像を国家資源であると考える傾向が強まり、各国で映像発掘に力を入れている。そのため、今年度は次年度の研究のための予備調査として韓国映像資料院などにおける映像・視覚資料の収集を行った。同時に日本国内においては、川喜多記念文化財団、早稲田大学演劇博物館、東京国立近代美術館における映像・視覚資料の調査を行なった。 なお、戦後と戦前とのつながりを考えるため、戦後日本の映像メディアにおける「在日」「朝鮮」認識に関する資料の分析及び考察も行い、その成果をまとめて発表している。このように戦前と戦後の文化表象のレベルで行なってきた「朝鮮」「在日」像の問題については、2005年度の学会などで公開していく予定である。
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