2004 Fiscal Year Annual Research Report
高品質電子ビーム非破壊診断装置としての回折放射光利用に関する実験的研究
Project/Area Number |
04F04056
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
浦川 順治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARATAEV P. 大学共同利用機関法人, 高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設, 外国人特別研究員
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Keywords | 回折放射 / 非破壊ビーム診断 / 金属薄膜 / 電子ビーム / 干渉測定 |
Research Abstract |
電子ビームのエネルギーが50GeV以上になった場合、Far-field(wave zone)approximationのため測定光学系が巨大になる問題がある。この問題を解決するためにDisphase Targetと呼ぶ新しい標的方式を導入して、その有効性を計算と実験により確認している。 2004年度は金属薄膜にスリットを高精度で製作して、スリット中心を電子ビームが通過する実験を行い、上下のスリット端部からの回折放射光の干渉パターンを高精度で測定できることを世界で始めて示した(Physical Review Letters, Volume 93,244802-1,10 December 2004)。金属薄膜はシリコン板(厚さ200ミクロン)に金を1ミクロン厚で蒸着して、製作した。スリットは化学的な方法により260ミクロン幅になるように製作を企業に依頼した。スリットのある標的の平面度等をレーザー干渉計で測定した結果、平均表面粗さは20nm程度であることが確認できた。これにより上下のスリット両端部からの500nm可視光による干渉測定にこの金属薄膜標的は十分満足するものであった。この測定ではミラー、コリメータ、光電子増倍管(PMT)を使ったので、干渉測定に十数分間のデータ蓄積を行っている。このため電子ビーム軌道変動等の影響があるものと考えている。 この研究開発では電子ビームが標的スリットを通過するだけで、測定干渉パターンから電子ビームサイズおよび電子ビーム軌道変動を1ミクロン以下の高精度で得ることが目的である。現状では検出器の感度が不十分なために多数回の電子ビーム通過からの回折放射光データを蓄積して、基礎的な実験を行っている。既に、高感度測定に必要な部品等を購入したので、2005年度は検出器の感度を上げて、一回の電子ビーム通過で電子ビームサイズが得られるように装置を改良する。2005年の秋までに瞬時非破壊測定を成功させる予定である。
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Research Products
(3 results)