2004 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面上のナノメートルスケール磁性金属分子複合スピン系の作製と磁性
Project/Area Number |
04F04060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小森 文夫 東京大学, 物性研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Xiangdong 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 分子吸着 / 結晶格子ひずみ / 窒素吸着銅表面 / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
これまで代表者の研究室では、窒素吸着銅(001)面上に形成される正方格子規則ナノパターンを利用して、コバルトや鉄の微粒子2次元規則配列を作製し、その形成過程や強磁性を調べてきた。本研究では、このナノパターンを用いて作製したナノ構造磁性体の磁性の分子吸着を用いた制御と磁性体を内包した分子の規則配列の形成を目標に、この表面における分子吸着観察から研究を開始した。この系では、窒素が吸着した一辺5nm四方のナノパッチ表面が銅清浄表面を間に挟んで正方配列している。この正方格子状の銅清浄表面には結晶格子ひずみがあるために、表面電子状態が不均一である。これにより、格子ナノパターンの交差点では表面反応性が高くなり、吸着が進行しやすいことが予想されてきた。 本研究は、劉博士が着任した6月末から、既設超高真空走査トンネル顕微鏡(STM)の改良を開始し、各種分子を超高真空中に導入するための配管とバルブを取り付けた。改良された装置を用いて、これまでに磁性薄膜の成長制御や磁性制御に用いられてきた酸素分子の解離吸着について、定量的な研究を行った。窒素吸着格子ナノパターン表面において、詳細な観察の結果、分子の解離が銅格子交差点の中心付近で優先的に生じていることや、解離した酸素原子の位置および運動が表面結晶格子歪みに依存していることを明らかにした。また、室温付近の温度依存性を測定することにより、原子の拡散障壁のエネルギーを求めた。酸素が吸着した銅(001)表面にコバルトを蒸着すると、銅原子の混入が少ないコバルト膜が成長すると考えられている。そこで、現在、酸素吸着面でのコバルト成長についてSTMを用いて観察している。
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