2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒマラヤ衝突型造山帯:バランス断面法による深部地質断面と衝上断層運動の放射年代値からの考察
Project/Area Number |
04F04068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
在田 一則 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAUKEL Lalu Prasad 北海道大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Main Central Thrust(MCT) / 逆転変成作用 / 複変成作用 / 白雲母b-specing / 角閃石 / ネパール |
Research Abstract |
ネパールヒマラヤの変形-変成史を解明するために、中央ネパール・低ヒマラヤ帯から採集した泥質・塩基性弱変成岩について、全岩・鉱物化学組成分析と白雲母のb-spacing解析を行った。 低ヒマラヤ帯の岩石には2種の白雲母があり、堆積面に平行なS_1面をなすものはセラドナイト成分にとみ、MCTの剪断面に平行なS_2面をなすものは乏しい。塩基性岩の角閃石にも、残晶結晶と片理に平行な短冊状結晶の2種がある。残晶のうち、破砕組織のないものはアクチノ閃石で累帯構造はない、いっぽう、破砕構造のあるものはコアはアクチノ閃石、周縁はMg普通角閃石〜チェルマク閃石である。角閃石のコアから周縁へ、Na^<M4>とAl^<iv>は増加し、リムでわずかに減少する。S_2をつくる再結晶角閃石もMg普通角閃石〜チェルマク閃石である。このように、低ヒマラヤ帯は複数回変成しており、初めの変成作用(M_1)はMCTの運動前(pre-Himalaya期)であり、後の変成作用(M_2)はMCTの運動時(Neohimalaya期)である。これらの岩石は上昇期の降温再平衡(M_3)も被っている。したって、低ヒマラヤ帯の白雲母や角閃石を対象とした放射年代の解釈には慎重を要する。M_2白雲母は南から北へ、平均Si量やΣ(Fe+Mg)量は減少し、Al量は増加する。同様に、M_2角閃石も南のアクチノ閃石から北のMCT近くのMg普通角閃石〜チェルマク閃石へ変化する。このことは、低ヒマラヤ帯ではM_2期には変成温度が北へ(構造的上位へ)連続的に上昇していたことを示唆する。角閃石-斜長石温度計によると、南の540℃からMCT近くの640℃に上昇する。白雲母のb-spacing解析によると、温度勾配は南の22℃km^<-1>から北の26℃km^<-1>に変化する。このような逆転温度構造をさらに詳細に明らかにすることはMCTの運動過程を解明する上で重要である。
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Research Products
(1 results)