2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射性医療用レニウム(V)錯体の分子設計と合成に関する研究
Project/Area Number |
04F04134
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Host Researcher |
池田 泰久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授
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Foreign Research Fellow |
CHOWDHURY Shubhamoy 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | レニウム錯体 / 放射性医薬品 / セミカルバゾン / 配位子置換反応 / ジチオラート |
Research Abstract |
放射性核種である^<186>Reは、γ線とβ線を放出することから、放射性医薬品として、特に診断と骨ガンの治療薬として注目されている。本研究では、放射性医薬品としてのRe化合物の開発を目的に、Reの安定同位体を用い、特に診断薬として利用されているTc((V)錯体をモデルとして、Re(V)錯体を合成し、その結晶構造および溶液系での構造および反応性について研究する。 具体的には、ReOCl_3(PPh_3)_2(PPh_3=triphenylphosphine)を出発物質として、ReOCl_2(PPh_3)(L)(L=semicarbazone)錯体、NO_2,NS_2,ドナー3座配位子、N_2O_2,N_2S_2,NS_3ドナー4座配位子を配位した新規Re(V)錯体を合成し、これら錯体の単結晶X線構造解析を行うとともに、溶液系での構造をNMR,IR,ラマン分光法により検討する。また、サイクリックボルタンメトリー法により、これら錯体の酸化還元挙動を調べる。さらに、これらの研究を基に、錯体の反応性(錯形成反応、配位子交換・置換反応)についても研究する。 初年度として、錯体の合成を主として行い、セミカルバゾンの誘導体の一種であるニトロフラゾン(NF)を配位子としたReOCl_2(PPh_3)(NF)錯体及びS3ドナー3座配位子を有する錯体ReOS3Cl(S3=3-thiopentane-1,5-dithiolate)を合成し、それらの構造解析を行った。また、ReOS3Clを出発物質として、Cl^-をSCN^-で置換した錯体ReOS3NCSを合成した。これら錯体の溶液中での構造をNMR(JEOLJMN-LA300WB NMR装置),IR分光光度計(Shimadzu FT-IR-8400S),ラマン分光光度計(JASCO RMP-200)により調べ、基本的に結晶構造と同じであることを明らかにした。 さらに、ReOS3ClにおけるCl^-のSCN^-による置換反応の速度論的解析を行い、SCN^-濃度に依存する二次反応であることを明らかにし、速度論的パラメーターとして、ΔH^≠=31.9kJ mol^<-1>,ΔS^≠=-138JK^<-1>mol^<-1>を得た。
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Research Products
(1 results)