2004 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン類と疎水性薬品粒子表面の相互作用に関する研究
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04F04163
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
根矢 三郎 千葉大学, 大学院・医学薬学府, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WONGMEKIAT Arpansiree 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | シクロデキストリン / 難溶性医薬品 / ナノ粒子 / 混合粉砕 / 水分量 |
Research Abstract |
難溶性医薬品のバイオアベイラビリティの改善を目的とし、シクロデキストリン(CD)類との混合粉砕による難溶性医薬品ナノ粒子の調製と生成メカニズムについて研究を進めた。X線回折測定、粒度分布測定および定量法等を用いて、ナノ粒子生成に影響を及ぼす様々な因子や粒子の安定性について検討を行った。 難溶性医薬品のモデル薬物として喘息の治療薬であるプランルカスト水和物(PRK)を用いた。水分含量の異なったβ-CD水和物または無水β-CDとPRKをモル比2:1(CD:PRK)で混合粉砕したものを混合粉砕物(GM)とした。粉末X線回折測定の結果から、無水β-CDを用いたGMは非晶質化していたが、β-CD水和物を用いたGMは薬物結晶由来ピークがわずかに観察された。各GMを水に分散しPRKナノ粒子量を定量したところ、無水β-CDとのGMはほとんどナノ粒子化しなかったのに対し、β-CD水和物とのGMは96%の薬品がナノ粒子化していたことが認められ、その平均粒子径は192nmであった。水分の影響について詳細に検討したところ、混合物の水分量の増加につれて、ナノ粒子量はシグモイド状で増大し、ある水分量以上になると減少することが認められ、ナノ粒子生成に対する系の水分量には至適範囲があり、水分量はナノ粒子生成に重要な役割を果たすことが明らかとなった。また、CD含量や粉砕時間もナノ粒子生成に影響を及ぼす重要な因子であることがわかった。 添加剤として、マンニトール、乳糖およびMCCを用いてPRKと重量比5:1で混合粉砕した試料は,CD類と異なり、いずれの系においてもナノ粒子はほとんど生成しなかった。このことより、ナノ粒子生成はCD類特異的に起こるものであり、CD-薬品間の相互作用が関与していると考えられた。 GM粉末のSEM測定を行った結果、GM粉末中に約50nmの粒子が観察された。この一次粒子が非晶質化したCDのマトリックス中に分散しており、水に分散した後に凝集し、平均粒子径約200nmの粒子になったと考えられた。
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Research Products
(1 results)