2004 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様作用を有するバナジル-ポルフィリン錯体の開発研究:構造-活性相関性
Project/Area Number |
04F04164
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHA Tapan Kumar 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 糖尿病 / インスリン様作用 / バナジル錯体 / ポルフィリン錯体 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
糖尿病は21世紀の最大の生活習慣病といわれている。インスリン注射を唯一の治療法とする1型糖尿病のインスリン代替薬剤が世界的に求められている。我々は1990年に初めてインスリンの筋肉注射に代替できる経口投与で有効な4価バナジウム錯体(バナジルーシステインメチルエステルなど)を見出し、インスリン代替医療の可能性を示した。その後、多くの配位様式をもつ4価バナジウム錯体を合成し、VO(N_2O_2)配位様式をもつバナジル-ピコリネート錯体やVO(O_4)配位様式をもつバナジル-アリキシン錯体が高活性なインスリン様作用と血糖降下作用をもつ錯体として提案してきた。しかしVO(N_4)配位様式をもつ錯体については十分研究を進めてこなかったが、本年度にはじめて(meso-tetrakis(1-methylpyridinium-4-yl)porphyrino)oxovanadium(IV) (VOTMPyP)錯体はアスコルビン酸と共に糖尿病動物に与えると高血糖値を低下させることを見出した。この研究にもとづいて、さらに有効なバナジル-ポルフィリン錯体を検索することとした。本年度は、(protoporphylin IX)oxovanadium(IV) (VO(PP))と(meso-tetrakis(4-sulfonatophenylporphyrinato)oxo-vanadium(IV) (VO(TPPS))を合成し、物性やタンパク質との相互作用を調べた後、脂肪細胞を用いてin vitroインスリン様活性を調べたところ、アスコルビン酸共存下では、VO(TPPS)>VOSO_4>VO(TMPyP)>VO(PP)の順となり、VO(TPPS)が最も高活性を示すことが分かった。本研究を基盤として、バナジル-ポルフィリン錯体はインスリン様作用を有する糖尿病治療薬になりうる強い可能性が示された。
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Research Products
(2 results)