2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生態系における細菌群集の多様性と活性の支配要因としてのウィルス感染の役割
Project/Area Number |
04F04175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Yanhui 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 微生物群集 / 多様性 / 細菌 / フローサイトメトリー / ウィルス / シアノバクテリア / プロクロロコッカス / 微生物食物網 |
Research Abstract |
本研究は海洋における微生物群集の活性分布と多様性およびその支配要因をウィルスと原核生物の相互作用に焦点をあてて明らかにすることを目的としている。2005年9月2日から9月21日にかけて実施された学術研究船白鳳丸KH-05-2次航海に乗船し、中部北太平洋の亜熱帯域、移行、亜寒帯域の各海域における観測と実験を実施した。観測項目は表層から深層までの鉛直採水を中心とし、同時に、主要な観測点における操作実験を実施した。操作実験においてはウィルス除去海水およびウィルス濃縮海水をそれぞれ海水の細菌画分に添加することで、ウィルス感染が細菌活性と多様性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。細菌活性、生物量、多様性の解析に供するサンプルを採集し、現在、その解析を進めているところである。鉛直採水サンプルについてはフローサイトメトリーを用い、細菌、プロクロロファイト、ウィルスの数とサイトグラム特性の解析を進めた。この解析を行うにあたってフローサイトメトリーの測定条件の最適化、特に光学系のノイズの除去は測定容量の安定性確保にかかわる詳細な検討を行った。その結果、外洋域や深層水などの低密度試料の高精度測定が可能になった。この方法を用い、北緯25度から47度にかけての細菌とウィルスの広域南北断面分布を求めた。その結果以下のような新たな知見が得られた。1)移行域の表層に高ウィルス濃度水魂が見いだされた。2)深度とともにウィルス:細菌比が増加する傾向がみられた、3)中深層において緯度の増加とともに細菌数、ウィルス数がともに増加する傾向がみられた。現在、これらのパターンがあらわれる要因解析を行うと共に、論文作成の準備を進めている。
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