2004 Fiscal Year Annual Research Report
難消化性糖質による微量必須ミネラル吸収の促進機構に関する研究
Project/Area Number |
04F04201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 博 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAOSAR AFSANA 北海道大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリフェノール / タンニン / 鉄吸収 / difructose anhydride III |
Research Abstract |
食品中のポリフェノール化合物は、多くの有用な生理作用が知られているが、一方で過剰摂取は、微量必須ミネラルの吸収を阻害すると言われている。私どもは、タンニンにより引き起こされる鉄吸収阻害と貧血が、非消化性オリゴ糖であるdifructose anhydride III(DFA)の同時摂取により解除されることをラットによる試験で見出した。本研究の目的は、1)このDFAの作用発現機構を解明すること、2)タンニン以外のポリフェノール化合物の鉄吸収への影響、およびこれに対するDFAや他のオリゴ糖の摂取の作用を明らかにすること、3)これら食品成分の、鉄以外の微量必須ミネラルである亜鉛、銅、マンガンなどへの作用を明らかにすること、である。これらを達成するために、本年度は、ラットin vivo出納試験で、DFAによるタンニンの鉄吸収抑制解除機構に対する、大腸発酵の関与を調べた。 その結果、鉄吸収率はタンニン摂取により、50%から20%に低下したが、DFAの同時摂取により40%まで回復した。盲腸切除は、タンニンによる鉄吸収の抑制作用を消失させた。盲腸切除ラットでの、タンニンとDFAの同時摂取は、鉄吸収に影響を及ぼさなかった。これは、盲腸切除ラットで鉄吸収が、タンニンにより抑制されなかったのが原因と思われる。一方、ヘマトクリット値は、タンニン摂取群で、非摂取群に比べていずれの群の大きく低下していた。盲腸切除術2日目での、ヘマトクリット値が盲腸切除のみで大きく低下しており、大腸での鉄吸収の重要性を示唆する結果となった。肝臓中の貯蔵鉄の動態は、試験食摂取2週目のヘマトクリット値の変動と良く一致していた。大腸発酵を示す盲腸内容物中の酢酸値は、DFAのみの摂取で増加するが、タンニンの同時摂取で、その上昇が消失し、タンニンが大腸発酵を抑制することも明らかになった。
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