2004 Fiscal Year Annual Research Report
温度勾配下における積雪の変態過程でのファセット転移機構の研究
Project/Area Number |
04F04321
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授
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Foreign Research Fellow |
FLIN Frederic Alexandre 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 結晶成長 / フェーズフィールドモデル / 樹枝状結晶 / 分子動力学法 / クラスターコンピュータ |
Research Abstract |
積雪の内部構造は、時間とともに急激に変化し、積雪の不安定化や雪崩の発生などの原因となる。この現象は、積雪の変態(Metamorphism)の機構と呼ばれるが、未だ多くの課題が残されている。その一因は、積雪内部の三次元構造の時間変化を精密に観察することが極めて困難であることや、積雪内部の温度勾配に起因する氷粒子の蒸発・成長過程に関する理論モデルの不足などが上げられる。 本研究では、積雪の試料に温度勾配をかけて積雪内部での氷粒子の蒸発・成長過程の精密な観察を行うために、特に氷粒子表面での相転移に関連した表面の形状の変化、すなわちファセット表面(分子レベルで見て平らな表面のことで、マクロには平らな結晶面として現れる)の発達の過程に注目して解析を開始した。 初年度では、温度勾配をかけた状態で積雪の変態過程のモデル実験を行うための装置の作製を行った。氷単結晶内にネガティブクリスタル法で微小な空泡を作製し、温度勾配をかけたときに空泡の形状がどのように変化するかを精密に観察するシステムである。次年度では、本装置により実験を行う予定である。 一方、積雪の三次元構造の時間変化を追跡可能なシミュレーションを開始した。すでに、平衡状態での変態過程のシミュレーション手法は確立しているので、これに非平衡効果である氷結晶の成長蒸発カイネティクスの効果を新たに導入する。結晶表面のファセットは、温度勾配のある非平衡環境相に置かれた氷結晶が、気相から成長するときの表面分子ステップの運動を通じて生成される。 次年度には、以上の実験やシミュレーションを元に、積雪の非平衡での三次元構造変化の新しいモデルを提案する。
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