2005 Fiscal Year Annual Research Report
温度勾配下における積雪の変態過程でのファセット転移機構の研究
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04F04321
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授
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Foreign Research Fellow |
FLIN Frederic Alexandre 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 積雪 / 変態過程 / 三次元構造 / 結晶成長 / ギブストムソン効果 / シミュレーション |
Research Abstract |
降雪により生成される積雪内部では、積雪の開始から融解して完全に消失するまでの間に、それらの構造や物理的性質が大きく変化する。これは、温度や水蒸気の移動によって律速され、積雪の変態過程(metamorphism)と呼ばれる。これは、積雪による交通障害や雪崩の発生などの災害とも密接に関連するばかりではなく、氷床深部での氷の物理的性質や構造などとも直接関連している。 実際の積雪では常に温度勾配が存在するため、これはより現実に近い系である。温度勾配のため、積雪を構成する氷粒子が結晶成長したり蒸発をしたりする。このため、結晶成長に関する考察を付け加えることが極めて重要であるが、積雪内での氷粒子の蒸発や成長(非平衡性)のため、積雪の変態過程は平衡状態に比べて各段に複雑になり、現在までに十分なモデル化はなされていない。このため、本年度は温度勾配下に置かれた積雪の変態過程の三次元的な精密解析と新しいモデルの構築を行った。新しいモデルの本質は、結晶成長の知識を導入したことで、これを使って三次元積雪構造変化のシミュレーションを実施した。 まず、積雪内の氷結晶の表面形状が凸の場合と凹の場合について、結晶の成長あるいは蒸発によってその形状がどのように時間発展するかを理論的に考察した。これによって、表面が平らな面で囲まれる(Faceted)場合と丸い面で囲まれる(Rounded)場合に区分けを行うことが出来ることが明らかになり、積雪変態の基本原理が示された。このモデルにより、非平衡条件での積雪の変態過程のシミュレーションが初めて可能になった。その結果、温度勾配に起因する積雪の圧密過程を再現することに成功した。最終年度である、18年度にはシミュレーション結果の解析と実験で得られた三次元構造変化の詳細な解析を予定している。
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Research Products
(3 results)