2006 Fiscal Year Annual Research Report
線形および非線形要素を含む閉ループシステムの同定と適応補償に関する研究
Project/Area Number |
04F04353
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野 昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DING Yuamning 慶應義塾大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 線形化補償 / プレディストーション / 非線形増幅器 / 適応同定 / MRダンパ / OFDM |
Research Abstract |
本研究のテーマは、非線形要素を含む閉ループ系の同定と非線形性の適応補償であり、主に2つの非線形対象について取り組んだ。一つはOFDM通信システムの送信設備における高出力増幅器(HPA)の飽和非線形特性とメモリ特性の適応補償法であり、もう一つは非線形ヒステリシス特性をもつMRダンパの適応補償法である。OFDM通信の伝送品質の劣化を防止するためのHPAの線形化補償に関しては、これまでいくつかのプレディストーション法が提案されたが、代表的な参照テーブル方式(LUT)はメモリ容量が大きく、ダイナミクス(メモリ)による線形歪みが考慮されていないなどの問題があった。また、線形メモリをもつHPAに対して、Volterra級数モデル(VSM)に基づく手法などが提案されたが、実時間で実行することがかなり難しい。本研究では、従来法の問題点を解決するために、線形ダイナミクスを考慮したHPAをブロック指向モデルで記述し、適応同定、適応制御、適応信号処理の立場から、低計算量と実時間で実行できるHPAの同定法と適応補償法を開発することに成功した。モデルマッチングによるHPAの線形ダイナミクスと非線形特性を直接適応的に制御する補償法と、HPAの逆システムを同定することによるHPAのプレディストータ(歪み補償器)を構成した補償法を提案した。アルゴリズムを実装化するには、ローカルモデリングによる線形化補償法を開発し、従来のLUT法の性能を格段に改善することも可能となった。さらに電力効率を考慮した手法についても新たな適応的な最適化手法を開発した。また、MRダンパについては、内部状態変数を導入した線形化パラメータモデルを開発し、非線形適応観測器を併用した適応同定アルゴリズムを開発した。
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Research Products
(6 results)