2005 Fiscal Year Annual Research Report
家ネズミ及び外来種が小笠原諸島の固有在来植物相に与える影響
Project/Area Number |
04F04471
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PALITHA Jayasekara 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 小笠原諸島 / クマネズミ / 個体数 / えさ資源 / 外来種 / 多様性影響 |
Research Abstract |
小笠原の固有生態系に大きなインパクトを与える外来種としてクマネズミが挙げられている。その固有な生態系とアオウミガメや稀少海鳥の繁殖地となっている南島においてクマネズミの生息状況を調査した。南島の環境を代表する5ヶ所に調査区を設置し、密度推定および捕獲率を求めた。調査区の植生はそれぞれ1)水際で植生の多様性が高い地域、2)コウライシバの優占する地域、3)コウライシバとハマゴウの優占地域でオナガミズナギドリの営巣場所、4)低木(クサトベラ)区、5)植生が貧弱な岩場でカツオドリの営巣地である。延べ260個のトラップを仕掛け111匹のクマネズミを捕獲した。調査区1では79匹が捕獲され、そのうち24匹が再捕獲された。また、海際で植生がわずかな調査区5でも捕獲された。さらに、捕獲個体の32.4%は繁殖個体であった。ついで、胃内容物の調査から、クマネズミの食性を明らかにした。その内訳は、単子葉植物39.4%、双子葉植物30.1%、繁殖器官2.3%、動物質28.0%、その他0.5%と、父島のクマネズミに対して圧倒的に動物質が多い特徴があった。摂食された動物質として稚亀、鳥、鳥の卵、魚が認められた。また、南島のクマネズミの体型は父島のそれに比べて大きく重いことが判明した。南島の単子葉植物の大部分はコウライシバであり、えさ資源としての価値は低い。南島のクマネズミにとって豊富な動物質のえさ資源の存在が生育および繁殖に大きな意味を持っていると考えられた。
|