2004 Fiscal Year Annual Research Report
シノメニンのTh1およびTh2免疫応答に対する効果
Project/Area Number |
04F04490
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉野 伸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG Feng 神戸薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | シノメニン / 免疫応答 / Th1 / Th2 / サイトカイン / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
シノメニンは、中国産植物、なかでもハーブから抽出、単離したアルカロイドであるが、最近、本アルカロイドは、サイトカイン発現に重要な役割を果たしているJAK/STATシグナル伝達系を強く抑制することが明らかにされた。一方、サイトカインは免疫系において重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた。したがって、本研究においては、自己免疫疾患に関与していると思われるTh1免疫反応およびアレルギーに役割を果たしているTh2免疫反応に対するシノメニンの効果について検討した。実験動物としてはDBA/1Jマウスを用い、抗原には卵白アルブミン(OVA)を用いた。シノメニンのTh1およびTh2免疫系に与える影響を調べるため、マウスにOVAをフロインド完全アジュバントと混和したものを皮下注射することによって免疫した。シノメニンは、用量を変え(1,3,10mg/kg)、免疫時から21日間1日1回経口的に投与した。免疫後21日に血清中の抗OVA抗体IgG2(Th1細胞依存性)およびIgG1(Th2細胞依存性)をELISA法によって測定した。また、同様に脾臓細胞をOVAとともにin vitroで培養し、細胞外に分泌されるTh1サイトカイン(IL-2、IFN-gamma)ならびにTh2サイトカイン(IL-4、IL-10)をELISAにて測定した。その結果、シノメニンによって抗OVA IgG2aおよびIgG1抗体は用量依存的に抑制された。しかし、その抑制の程度はIgG2a産生においてより著明であった。また、IL-2、IFN-gamma、IL-4、IL-10産生はシノメニンによって抑制、あるいは抑制傾向がみられた。この際、IFN-gamma産生抑制はIL-4およびIL-10産生抑制と比較し、より大きかった。以上の結果から、シノメニンはTh1およびTh2免疫系に対し抑制的に働くと思われるが、本アルカロイドはTh2よりもTh1免疫応答をより強く抑制すると思われる。
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