2004 Fiscal Year Annual Research Report
変異型FGFR3で発症する致死型軟骨無形成症の病理組織学的メカニズム
Project/Area Number |
04F04605
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
網塚 憲生 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI MINQI 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 致死型軟骨無形成症 / 変異型FGFR3 / 軟骨細胞 / 軟骨内骨化 / アポトーシス / VEGF |
Research Abstract |
致死型軟骨無形成症(thanatophoric dysplasia : TD)は線維芽細胞増殖因子受容体III型(FGFR3)遺伝子の突然変異に起因し、FGFR3^<R248C>およびFGFR3^<K650E>はそれぞれTDI型、TDII型を発症させることが知られている。本年度の研究ではヒトTDI,TDII胎児の脛骨の組織切片を検討すると共に、TDI,TDIIを発症させるFGFR3^<R248C>,FGFR3^<K650E>を培養軟骨細胞(CFK2)に遺伝子導入し、それら細胞の細胞形態の変化とアポトーシス、さらにはVEGF(血管内皮増殖因子)の発現について検討した。 ヒトTDII脛骨の組織切片を検討すると、骨・軟骨の境界構造が陥凹状を示しており、肥大化細胞層も不均一な構造を示していることがわかった。その原因として、TDIIでは骨組織からの血管侵入が局所的に亢進していることも明らかにされた。免疫組織化学では、TDIIにおけるVEGFの発現が亢進していたことから、VEGF発現促進により血管内皮細胞の過剰な軟骨侵入が誘導されることが推察された。さらに、肥大化層の軟骨細胞はアポトーシスに陥っていることも明らかとなった。そこで、FGFR3^<K644E>cDNA(ヒトのFGFR3^<K650E>に相当)を培養軟骨細胞であるCFK2細胞にtransfectionすると、VEGFの発現亢進を示した。また、そればかりではなく、CFK2は細胞萎縮を示すとともに、ストレスファイバーの消失、およびTUNEL陽性反応を呈した。ところが、同じ変異型FGFR3cDNAをtransfectionされたChinese hamster Ovary (CHO)細胞は細胞萎縮およびTUNEL陽性を示さなかった。以上より、変異型FGFR3(FGFR3^<K644E>)は軟骨細胞のVEGFの発現を亢進させるばかりでなく、軟骨細胞特異的にアポトーシスを誘導すると推察された。
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