2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペロフスカイト型マンガン酸化物におけるAサイトランダムネスと構造及び物性の関係
Project/Area Number |
04F04681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 寛 東京大学, 物性研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Chang 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属酸化物 / ペロフスカイトMn酸化物 / Aサイトランダムネス / 巨大磁気抵抗効果 / 電荷軌道整列 / 金属絶縁体転移 / 磁性 |
Research Abstract |
Aサイト秩序型ペロフスカイトMn酸化物RBaMn_2O_6のゾルゲル法による合成を試みたが、無秩序型が安定に生成されることが判明した。固相反応で、色々なAサイト秩序度を持つ物質を合成し、構造と物性を調べた結果、Aサイトランダムネスが増加するにつれ急速に電荷軌道整列状態や長距離磁気秩序状態が不安定になり、磁気グラス状態が出現する。これは、R^<3+>とBa^<2+>の電荷の異なるイオンがつくる局所ポテンシャルのランダムネスのみならず、大きくイオン半径が異なるイオンがランダム分布することによる局所構造の乱れにより長距離相関が働かなくなるためと解釈された。無秩序型Pr_<0.5>Ba_<0.5>MnO_3において低温で特異な磁気抵抗効果が観測されたので、現在、単結晶を育成中である。また、Aサイト秩序型ペロフスカイトMn酸化物RBaMn_2O_6では室温以上で電荷軌道整列を起こすことから、これに微妙な乱れを導入し、強磁性金属状態がミクロに共存する電子相分離状態を出現させ、それを利用して、遷移金属酸化物では初めての室温で200%を超える巨大磁気抵抗効果の実現に成功した。現在、単結晶を育成中である。発展的研究として、これまで報告のないバナジウム酸化物V_4O_9の合成に成功した。
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