2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの貧困削減に対する金融サービスの役割に関する比較研究
Project/Area Number |
04F04703
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉田 洋一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAZUL Islam 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アジア / ベトナム / バングラデシュ / マイクロファイナンス / 農村開発 / 貧困削減 / グラミン銀行 / 農村金融 |
Research Abstract |
本研究は、ベトナムとバングラデシュにおける調査を通じて、アジアの貧困削減に対する金融サービスの役割を考察するものであり、当然のことであるが、マイクロファインナンスを念頭においている。ただし本年は研究の初年度であり、ベトナムでのデータ収集、ベトナムとバングラデシュにおける予備的調査を行うに留め、次年度における詳細な調査に結びつけたいと考えている。 研究員はバングラデシュ生まれのDr.Tazul Islamであり、同氏の今年度の研究は以下のようにまとめられる。まず8月にベトナムの北部でNGOおよびベトナム政策銀行の融資に対する予備的調査を行った。続いて11月にはバングラデシュで、農村住民の負債と金融資産、家計の経済状況について調査を行っている。1月には京都で南アジア農業の専門家と議論を実施し、さらに2月から3月にかけて、バングラデシュでの機関調査を行った。 議論の中心は、マイクロファイナンスによる貧困削減の実際であり、それが単なるニッチェに対する金融サービスなのか、それとも貧困削減を含む今後の農村経済の展開を主導する主流になりえるのかどうかという点であろう。すでにマイクロファイナンスの商業化が各地で進行し、部分的には貧困層への金融サービスが比重を下げるという点がみられている。いわゆるmission driftであるが、この研究も、マイクロファイナンスの質的変化が、そもそもの目的であった貧困削減にどういった変節をもたらしているのかをみていきたい。
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