2006 Fiscal Year Annual Research Report
被服材料としてのテンセルのミクロ及び分子レベルにおける研究
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04F04705
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松生 勝 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DRAMBEI Petronela 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | キトサン / ポリビニルアルコール / 配向分布関数 / 試作したサンプルホルダー / 凝固浴 / テンセル / セルロースI結晶 / ヤング率 |
Research Abstract |
Drambeiの研究は、2つに大別される。 1)一つは研究に慣れるため、まず第一に、キトサンとポリビニルアルコールのブレンド溶液を凝固法によってゲルを作成し、それを乾燥してフイルムにし、その力学特性と構造をポリビニルアルコールのゲル及び乾燥フイルムとの比較検討により、検討した。とくにポリビニルアルコールの分子鎖の配向については、3つの結晶面の逆格子ベクトルの配向分布関数を基に、Roe-Krigbaumの方向を用いて、結晶3主軸の配向分布関数を求めた。この方法で難解なのは、通常の1軸延伸試料の配向分布と異なり、これは、(110)面がフイルム面に平行に配向する挙動を追求するため、X線を膜面に平行に入射する必要があり、このため、フイルムを数十枚重ねて、これにX線を照射する方法を採用しなければならず、試作したサンプルホルダーを用いて、測定を行った。その結果、結晶3主軸のうち、結晶繊維軸は膜面に平行に配向することが、定量的に求まったが、特に凝固浴の硫酸ナトリウムの濃度が高いほど、高い配向度を示した。またキトサンが混入されると、PVAの配向度が低くなった。しかしキトサンの混入により、ポリビニルアルコールの分子鎖の配向は緩慢になった。また非晶鎖セグメントの配向についても考察を加えた。この成果はMacromolecular Symposia 242,(Issue 1,October) 146-156 (2006)に掲載されている。 2)テンセルの力学的性質とその構造を研究するために、1)の研究の知識を応用して、テンセルの微結晶の配向分布関数を求める研究をおこなった。テンセルを一軸方向に配向させ、こてにX線を垂直に入射して、セルロースI結晶の結晶面の配向分布関数を求め、回折強度の重なりについては強度分布の分離を行って求めた。
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