2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04742
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
本山 直樹 千葉大学, 園芸学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AFMAD Riaz 千葉大学, 園芸学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 農薬 / 環境動態 / 生態影響 / ビオトープ / 水生生物 / 底生生物 / 底質 / 吸着・脱着・分解 |
Research Abstract |
千葉県大網白里町砂田の谷津田休耕田に造成したビオトープにおいて、農薬(ネオニコチノイド剤のイミダクロプリド)を投入後、水生生物ならびに底生生物の相対的密度の変化を経時的に調査した。その結果、一部の生物(アメンボ、コミズムシ、アメリカザリガニ、ユスリカ幼虫)については農薬投入によって明らかに中毒あるいは致死症状が見られたが、時間の経過とともに回復した。水中および底質中の農薬濃度を分析したところ、濃度分布に不均一性が見られ、また比較的速やかな減衰が見られた。従って、野外環境下では水だけを入れたガラス水槽を用いる室内試験と異なり、農薬濃度と生物の分布の不均一性により生存個体が出現し、また周辺環境からの再移入も可能なので、農薬の生態影響は緩和されて、密度回復が比較的容易に起こることを示唆した。一方、イミダクロプリドは甲殻類に対して低毒性と言われているにもかかわらず、野外ではアメリカザリガニに対して大きな影響を及ぼした原因を明らかにするために、水だけを入れたガラスの水槽内で水深を変えて毒性検定を行った。その結果、中毒状態のアメリカザリガニ個体は水深が浅い場合は脚を水上に出して酸素を取り込む行動を示すのに対して、水深が深い場合はそれができないために溺死し、高い毒性につながることが示唆された。 茨城県北浦周辺の水田水路から底質を採取し、各種物理化学的性質を測定したところ、多様な性質の底質が採取できたので、室内の容器内試験で農薬の吸着・脱着・分解などを調べるための基礎実験を行った。水田で使用された農薬が水路に流出した場合の実際の水中濃度と、それによる水系生態系に及ぼす影響について今後調査を行う予定である。
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