2005 Fiscal Year Annual Research Report
オマーン・オフィオライト,マントル部のクロミタイトと岩脈の岩石学
Project/Area Number |
04F04790
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒井 章司 金沢大学, 自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PYTHON Marie 金沢大学, 自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | オマーン・オフィオライト / 中央海嶺 / 島弧 / マントル / 熱水 / ボニナイト / ディオプサイド / 岩脈 |
Research Abstract |
オフィオライトの代表的存在でありながら、従来までその起源に対する議論の続いているオマーン・オフィオライト(北部)のマントル部分の脈岩類についての研究を行い、以下の結果を得た。 1.ワジ・ラジミ沿いのマントルかんらん岩を精査した結果、モホ直下深さ4キロメートル程度までは鉱物化学組成がほぼ一定(かんらん石Fo91、スピネルCr#0.5-0.6、単斜輝石のREE量)である。一方、モードは規則的に変化する。すなわち、深度が増すに従い、斜方輝石(総輝石)量が増加する。基底部近くにレールゾライトが産することを考えると、このモード組成の傾向はマントル部全体に渡って続いている可能性がある。これは高速拡大の中央海嶺下のマントルでのマグマ過程を示すものとして重要である。すなわち、最上部マントルではモード組成のこう配を保ちつつ鉱物化学組成の均質化が起きているのではないかと思われる。 2.ハルツバーガイト-オルソパイロクシナイト-ダナイト複合岩体を発見し、解析した。このハルツバーガイトは高度に枯渇しており、スピネルのCr#は0.65以上である。また単斜輝石も非常に枯渇した組成を示す。全体としてボニナイト的なマグマとの平衡を示唆しており、島弧的環境が示唆される。マントルの一部は島弧的環境を記憶していることが確かめられた。これは、砕屑性クロムスピネルからの研究結果と整合的である。 3.マントル部分、特にかつてのマントル・ダイピルの中心部付近に、純粋なディオプサイドに近い単斜輝石を主とする不思議な岩脈が産する。An>99の斜長石やFo>95のかんらん石が伴われる。これちの鉱物は「スカルン的」であり、熱水の関与を示唆する。可能性としてシリケート成分に富む熱水からの晶出が考えられる。これは海嶺下のマントル部分への熱水の到達を示唆しており、その起源は大変重要である。
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Research Products
(3 results)