2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下垣 仁志 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 倭王権 / 連作鏡 / 畿内B級古墳群 / 倭製鏡 / 分配 / 祭式生成構造 / 古墳時代 / 同型構造 |
Research Abstract |
本年度は、以下の研究をおこなった。 まず、銅鏡の製作体制と流通機構を明らかにするため、倭製鏡の連作鏡を、細かな実見にもとづいて検討した。 その結果、倭製鏡製作の短期性が証明され、その戦略的配布を明快に裏付けることができ、前年におこなった倭製鏡の流通動態と総合的に論じる筋道を示すことに成功した(「連作鏡考」)。 また、畿内の中型古墳群であるB級古墳群を俎上に載せて、分析をおこなった。その結果、畿内中枢の超大型古墳群を核として、全国的に同型で入れ子的な古墳群構造の実態を解明することができた。さらに、各地域の地域性と、畿内を核とする均質性が古墳時代に併存する理由と意義を、諸地域が畿内中枢祭式を自地域の序列化のために、積極的に採用した結果と解した(「畿内B級古墳群考」)。 王権論についての理論的予察を、京都大学文学部COE研究会において口頭発表し、梗概を報告書に掲載した。これにより、倭王権論の可能性と射程、さらには自分の研究との連関性について、おおよその見通しを立てることができた(「倭王権考」)。 以上の研究と、前年度までの研究を綜合した内容を、学術書(『国家形成の比較研究』共著)に、寄稿した。これにより、倭王権の構造およびその存立基盤、そしてその変容のメカニズムを明らかにしえた(『倭王権と文物・祭式の流通』) 以上によって、倭製鏡の製作体制と戦略的流通、畿内を中枢とする古墳群の同型的反復構造、祭式・文物の吸収-再分配現象が、密接に関連した現象であり、それらの動態の中に倭王権の特質を見て取ることができ、その変容家庭の中に律令国家への変容をみてとった。
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Research Products
(6 results)