2005 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論の非摂動的性質の理解-行列模型と非可換空間上の場の理論の解析
Project/Area Number |
04J00203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 祐介 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超弦理論 / 重力の量子化 / 行列模型 / 統一理論 / 素粒子 |
Research Abstract |
素粒子論の最終的な目標は自然界のあらゆる現象を素粒子の言葉を用いて統一的に記述することである。現在、統一理論として最も有望な理論は超弦理論である。この理論は場の量子論による重力の量子化の時に存在した発散の問題を解決しており、相互作用の統一理論のみならず時空概念の拡張をも含んだ非常に豊富な構造を持っていると期待されている。超弦理論の今後の課題は摂動論によらない非摂動的な構成を与えることである。摂動論のみでは理論の本当の真空構造を決定することはできないため、理論からの現実の世界に対する予言ができないことになる。非摂動的な定式化の一つの方法は行列模型を用いるものである。この方法は様々な研究結果から有効な方法であると考えられており、具体的な模型がいくつか提案されている。この研究では超弦理論の非摂動的定式化を与える行列模型がいかなるもので、その理論がどのように自然界を記述しているのかを理解することを目標にした。その結果主に2つのことが成果として得られた。一つは行列模型に重力がどのように埋め込まれているのかを明白にしたことである。もう一つは、超弦理論では超対称性をもった重力が実現されているが、超重力の埋め込みについても明らかにしたことである。これらの結果は従来の模型の解釈とは違う解釈をすることで得られたものである。そのためこれまでの結果との関係を理解するためにさらなる研究が必要だが、この研究を手がかりとして行列模型の理解がさらに進むはずである。
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Research Products
(2 results)