2004 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーにおける膜新生過程での脂質の役割の解明
Project/Area Number |
04J00398
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱崎 万穂 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / オートファゴソーム / 膜輸送 / 飢餓 / 液胞 / PI3P / ER |
Research Abstract |
酵母を含む単細胞生物は常に飢餓を含む外的環境の影響を受けており、瞬時な対応の有無でその生死が分かれる。オートファジーは栄養飢餓の適応機構の一つであり、真核生物に広く保存されている。飢餓を感知した細胞は、オルガネラを含む自身の細胞質成分を非選択的に分解し、その分解産物を再利用して生存維持に必須なタンパク質を作り出す。その際に、オートファゴソームと呼ばれる脂質二重膜を2層もつ既存のオルガネラとは異なるユニークな構造体の形成がおこり、分解コンパートメントであるリソソーム/液胞に運ばれ大規模な蛋白質分解が展開される。オートファゴソームの膜動態は従来の小胞輸送系とは明らかに異なっており、どのように形成されるのか、膜は何に由来するのか等、まだ多くの謎に包まれいている。私はオートファゴソーム膜の由来の同定を目指し、以下の研究を行った。 オートファジー誘導の際に新規に形成されるオートファゴソーム膜の起源は未だ解明されておらず、ER、ゴルジ体、液胞と多くの仮説が乱立している状況である。これまでの研究により、ERからのフローがオートファゴソーム膜形成に必須であることを明らかにした。今回、lipophilicな色素であるFM4-64を用いることで、液胞膜の関与を示唆する結果を得た。FM4-64により液胞膜を染めた状態でオートファジーを誘導させたところ、新規に形成されたオートファゴソーム膜がこの色素により染まることが分かった。液胞はPI3Pに富んでいることがしられており、PI3Pを特異的に認識すると知られているFYVEドメインにGFPを付加させたもので観察したところ、PI3Pがオートファゴソーム膜にも存在することが明らかとなった。又、液胞からの膜輸送系に異常をきたす細胞で、オートファゴソーム膜形成能の低下がみられた。これらの結果は、液胞からの膜輸送がオートファゴソーム形成に関与していることを強く示唆している。
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Research Products
(1 results)