2004 Fiscal Year Annual Research Report
衛星でみたチベット高原の地表面熱・水収支分布とモンスーン気候に及ぼす影響
Project/Area Number |
04J00597
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥 勇一郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地表面エネルギーフラックス / 衛星リモートセンシング / 静止軌道衛星GMS-5 / 大気陸面相互作用 / チベット高原 / アジアモンスーン |
Research Abstract |
チベット高原はアジア地域の気候を支配するアジアモンスーンの形成に多大な影響を与えている.なかでも海抜高度が4,000mを越える地表面の日射による加熱は,対流圏中層の大気に直接熱的な影響を及ぼす.本研究では熱的な影響の指標として地表面エネルギーフラックス(正味放射量,地中熱流量,顕熱フラックス,潜熱フラックス)に着目し,NOAA/AVHRRデータを用いてフラックスを算出する手法を参考に,GMS-5/VISSRデータからチベット高原上のフラックスの空間分布を算出する手法を構築した. 静止軌道衛星であるGMS-5は,その観測範囲の広さ,観測頻度の高さにおいて極軌道衛星であるNOAAよりも優れており,GMS-5のデータを用いると大陸スケールの広さの領域におけるフラックスの空間分布が1時間間隔で算出可能となる.また,従来の手法ではフラックスの算出に必要な大気プロファイルの入力データとしてゾンデ観測データを用いていたため,ゾンデ観測地点近傍におけるフラックスの空間分布しか算出できなかったが,ゾンデ観測データの代わりに再解析データを用いたことによって,より広い領域におけるフラックスの空間分布を算出することができるようになる. 算出されたフラックスと地上観測で得られたそれとの比較を行ったところ,観測値との平均二乗誤差は正味放射量で86W/m^2,地中熱流量で44W/m^2,顕熱フラックスで47W/m^2,潜熱フラックスで134W/m^2であった.また,夏季モンスーンの進行に伴って潜熱フラックスの日最高値が顕熱フラックスのそれを上回ることなど,フラックスの季節変化の傾向は妥当なものであった.
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