2004 Fiscal Year Annual Research Report
車籠埔断層の物質科学的研究と1999年台湾集集地震の発生機構の解明
Project/Area Number |
04J00610
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷川 亘 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 集集地震 / 台湾 / 浸透率 / 異常間隙水圧 / 断層 / 貯留係数 |
Research Abstract |
台湾北西部の油田地帯において観測されている異常間隙水圧に焦点をおき,その発生機構の解析および考察を行った.これまでも台湾中部の集集地震発生域においても同様の解析を行っていたが,これまでとの違いを以下に挙げる.(1)有効圧変化に対する間隙率,貯留係数およびスケンプトン係数の変化をより正確に室内試験により求めた.(2)間隙水圧発生モデル(一次元非定常圧密解析)に粘土鉱物の脱水反応,地温勾配にともなう流体膨張,および地下深部からの流体の流入の現象を組み込むことでよりモデルを具体化した.(3)同地域の油田井戸において実際に間隙水圧が観測されているため,数値モデル計算の結果との比較考察が可能である. 数値計算の結果は実際に観測されている間隙水圧に比べて幾分低い値になった.その原因としては(1)地下深部からの流体の流入(2)実際の地下深部の浸透率は室内試験で求めた値よりも低い値を示す,ことが考えられる. また,地震発生地域において地表に露出している大断層(全5カ所)の内部構造観察および流体移動特性の測定も同時に行った.比較的浅部の構造を保持していると思われる断層帯(車籠埔断層)は深部断層帯(雙冬断層)に比べて高い浸透率を示し,また周囲の母岩(堆積岩)と比較してもほとんど違いは現れなかった.実験結果をもとに,断層運動時における滑り摩擦発熱による温度上昇と間隙水圧上昇プロセスの解析を行なうと深部断層ではthermal-pressurization機構が有効に働き,間隙水圧の上昇が起こる. また深部における付加体および断層帯の(力学的な)流体移動特性(浸透率・貯留係数など)をシンプル,低価格かつ高精度で測定することを目的とした,高圧変形試験機の設計および開発を行った.
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Research Products
(1 results)