2004 Fiscal Year Annual Research Report
環拡張ポルフィリン-希土類金属錯体の合成と物性の研究
Project/Area Number |
04J00764
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
養父 克行 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環拡張ポルフィリン / ヘキサフィリン / 求核付加反 / トリフェニルホスフィン / ハロゲン |
Research Abstract |
近年我々の研究室ではピロールが5つ以上から構成される環拡張ポルフィリンの簡便なone-pot合成法を確立した。これにより環拡張ポルフィリンを用いた錯体化、反応性について、より詳細に検討できるようになった。ピロールが6つからなるヘキサフィリンと8つからなるオクタフィリンの錯体化や反応性について検討を行った。環拡張ポルフィリンは環内部に非常に大きな空洞を有することからランタノドイオンなどのイオン半径の大きな金属イオンとの錯化、それによる近赤外発光が期待されたが、さまざまな条件を試みたがどのランタノドイオンとも錯体を形成しなかった。しかしその過程で酢酸中でヘキサフィリンを還流したところ偶然にもピロールのβ位に酸素原子が導入されることを見出した。これは系中の水が求核付加したものと考えられる。そこで酸性条件下ではピロールのβ位が求核付加反応を受けやすくなるのではないかと考え、ヘキサフィリンをHClやHBr存在下、THF中で還流したところ予想通りβ位がハロゲン化されることが分かった。ヘキサフィリンに対しトリフェニルホスフィンを作用させたところ、β位にトリフェニルホスフィンが付加し、結晶構造解析からもリン-炭素(β位)結合長が二重結合の範囲内であることからイリド構造をとっているのではないかと考えられる。また還元体ヘキサフィリンではこのような反応は起こらなかった。一つのヘキサフィリン酸化体に対し一つの求核剤が反応し、それによって求核付加したヘキサフィリン還元体が生成しそれ以上の反応は起こらないと考えられる。キノン類の反応性に非常によく似ていることが明らかとなった。
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