2004 Fiscal Year Annual Research Report
カタユウレイボヤの発生遺伝学-トランスポゾン挿入突然変異体の単離とその解析
Project/Area Number |
04J00873
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粟津 智子 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発生遺伝学 / 挿入変異体 / カタユウレイボヤ / トランスジェニックライン / エンハンサートラップ |
Research Abstract |
トランスポゾンMinosを用いたカタユウレイボヤ挿入変異体の作成過程において、通常の挿入個体とはGFPの発現パターンが異なるラインを単離した。PCRによる解析からこのラインではカタユウレイボヤのMusashiオーソログ遺伝子(Ci-Musashi)にMinosが挿入したことが判明した。この遺伝子の時間的・空間的発現パターンを明らかにするため、カタユウレイボヤ幼若体および成体の内柱・鰓裂においてin situハイブリダイゼーションを行ったところ、GFPの発現の見られる組織と同じ領域でシグナルが観察された。 続いて挿入箇所の近傍の、イントロンを含むゲノムDNA断片をプロモータとGFPにつなげたコンストラクトをエレクトロポレーション法によってホヤ卵に導入し、発生させて幼若体で観察を行った結果、GFPの発現パターンが変化することを確認した。さらに詳細な解析によりMinosの挿入があるCi-Musashi第三イントロン内に特異的なGFPの発現を強める配列があることをつきとめ、これは同種であるユウレイボヤのゲノム中にも保存されている配列であることが明らかとなった。 これらにより、このラインにおける特異的なGFPの発現はCi-Musashiのイントロン内に存在するエンハンサーによるものであること、つまりエンハンサートラップが生じたことが確認された。これはホヤを含めた海産無脊椎動物における初のエンハンサートラップの実証例であり、Developmental Biology誌上において報告を行った。
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Research Products
(3 results)