2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内鉄代謝機構の分子メカニズムの解明-鉄による転写制御からのアプローチ
Project/Area Number |
04J01004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 亮 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉄 / 出芽酵母 / 核・細胞質輸送 / 転写制御 |
Research Abstract |
出芽酵母の転写活性化因子Aft1は細胞内鉄濃度を感知し、それに応答して核・細胞質局在を変化する。Aft1の鉄濃度感知・応答機構の分子メカニズムの解明を目的としてAft1結合タンパク質をイーストツーハイブリッド法を用いて探索した。さらに、同定したAft1結合タンパク質のAft1の鉄濃度感知・応答機構への関与を検討するためにAft1との結合様式及び機能を解析した。 第一に、Aft1の核・細胞質局在は、Aft1の核外輸送担体Msn5とAft1との結合の鉄濃度に応答した変化により制御されることを明らかにした。また、Msn5欠損株ではAft1の核・細胞質局在制御は失われるが、Aft1の標的遺伝子の転写調節は完全には失われなかったため、Aft1の鉄による活性調節は核・細胞質局在制御に加え、例えば標的DNA配列への親和性の調節など、多段階の制御を受けていると考えられた。 第二に、ミトコンドリアあるいは細胞質における鉄-硫黄クラスター形成に関わるタンパク質と相同性の高い2種類のタンパク質がAft1と結合することを明らかにした。さらにその一方はAft1の核・細胞質局在制御に必須であったため、このタンパク質がAft1の鉄濃度感知に関連した機能を果たすことが示唆された。また、以上の結果よりAft1が鉄-硫黄クラスター形成を通して鉄濃度を感知していることが予想された。 第三にAft1が動原体タンパク質Cbf1と結合することを見出し、また動原体機能の異常を指標にした変異体スクリーニングによってAft1が単離された。さらにAft1の動原体への局在が観察された。これらの結果よりAft1が細胞内鉄代謝のみならず、動原体機能に関連した役割を果たす可能性が示唆された。
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