2004 Fiscal Year Annual Research Report
MRIによる核整列固体ヘリウム3の磁区構造と磁区成長ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
04J01137
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 孝佳 京都大学, 低温物質科学研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核整列固体ヘリウム3 / 反強磁性 / 磁区構造 / 核磁気共鳴映像法 / 磁壁 / メモリー効果 / マイクロケルビン / 自由誘導減衰 |
Research Abstract |
超低温度核磁気共鳴映像法(MRI)を行うことのできる実験装置として、冷凍設備およびMRIシステムを完成させた。測定の安定度の向上、高速化、高解像度化という点で以前の実験装置よりも大きく進歩した。また、NMRの共鳴周波数を広範囲に変化させることも可能にしたため、任意の磁場でのU2D2相の測定を行うことができるようになった。これにより、核整列固体ヘリウム3の磁気秩序相であるU2D2相における多磁区構造の起源、およびそこからの磁区成長のダイナミクスを解明するという目的にむけての実験装置が準備できた。このような実験装置の進歩により、U2D2相と擬強磁性をしめす高磁場相(HFP)との2相間で磁場を行き来させたときの1次相転移における安定相の時間発展を測定することができた。この時間発展は指数関数型の発展を示しており、核生成過程に支配されている過程を測定していると示唆される。またMRIによると、核生成された安定相は結晶内部のうち、結晶と共存している液体ヘリウム3との界面側に偏在しており、時間経過により内部に向かって安定相が成長している様子がわかった。また、このとき有為な温度勾配が結晶内部に存在することが測定された。これは相転移に伴う潜熱の影響であると考えられ、このような結晶内部の熱の流れも考慮してデータ解析している段階である。
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