2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J01215
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 一馬 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / 凝集 / 神経細胞毒性 / ターン / ラジカル / ESR / 過酸化水素 |
Research Abstract |
アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβペプチド(Aβ42)は、凝集することによって神経細胞毒性を示す。Aβ42の細胞毒性発現機構として、10位のチロシン残基(Tyr-10)および35位のメチオニン残基(Met-35)のラジカル化が注目されているが、それらの生成機構ならびに毒性発現との関係は明らかにされていない。本研究者らは最近、22位および23位におけるターン構造を特徴とするAβ42の新しい凝集モデルを提唱した。本モデルでは、本ターン構造によって、Met-35がTyr-10に空間的に近づくことが予想される。本研究では、Aβ42のラジカル化機構を明らかにする目的で、10位および35位のAβ42変異体3種(Y10F-Aβ42、M35nV-Aβ42、Y10F,M35nV-Aβ42)ならびにC末端のカルボキシレートをアミド型にしたAβ42変異体をそれぞれ高純度で化学合成し、それらの過酸化水素およびラジカルの産生量、凝集能と神経細胞毒性を調べた。 各種変異体の過酸化水素産生能は比色定量法で、ラジカル産生能はスピントラップ剤(PBN)を用いた電子スピン共鳴(ESR)法で、細胞毒性はPC12細胞を用いたMTT法によってそれぞれ評価した。その結果、金属イオンとの酸化還元反応によって生成した10位のフェノキシラジカルが、22位付近におけるターン形成によって、Met-35の硫黄原子を酸化し、生じたメチオニンカチオンラジカルがC末端のカルボキシルアニオンと共有結合することによって電荷が中和して安定化するという新しい反応モデルを提唱するに至った。また各種Aβ42変異体の凝集能とラジカル産生能との間には高い相関関係が認められたことから、凝集したAβ42は平衡反応によって内包されたラジカルを持続的に放出することにより、長期間に渡って神経細胞毒性を示すものと思われる。
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Research Products
(4 results)