2004 Fiscal Year Annual Research Report
貝類の外套膜に注目したバイオミネラリゼーション機構の解明
Project/Area Number |
04J01272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 雅哉 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオミネラリゼーション / 有機基質 / マガキ / カルシウム / サブトラクション / 外套膜 |
Research Abstract |
本年度の研究は、マガキの貝殻再生過程の観察、および貝類におけるバイオミネラリゼーションの場であるとされる外套膜に注目し、バイオミネラリゼーション関連遺伝子のクローニングを目的としている。 貝殻を幅2.8cm、奥行き1cm分削った個体において貝殻の再生過程を観察したところ、18時間後には約1mmのコンタクトレンズ状の貝殻が作製され、外套膜辺縁部の一部が膨張しているのが確認された。その後、貝殻の再生は進み、9日後には約5mm程の長さまで貝殻が成長し、元通り貝殻を閉じた状態を回復した。これらの結果より、マガキの貝殻再生は非常に早く、数時間後から開始され、その再生には外套膜の辺縁部が関与していると推測される。 この再生過程に特異的に発現している遺伝子をクローニングするために再生1週間後の外套膜と通常時の外套膜のサブトラクションライブラリーを作製した.さらに,有機基質の分泌を行うと予想される外套膜辺縁部に特異的に発現する遺伝子をクローニングするために,外套膜辺縁部と外套膜内側部のサブトラクションライブラリーを作製した。それぞれ、得られたクローンの解析を行った結果、後者のサブトラクションライブラリーから,繰り返し構造を有し、構造タンパク質であると推測されるクローンが複数得られた。 これらのクローンの相同性検索を行ったところ、アコヤガイ;Pinctada fucataの貝殻有機基質と相同性の高く、バイオミネラリゼーションに関与する可能性のあるクローンが含まれていた。また、ムラサキイガイmytilus galloprovincialisの足糸に含まれるprocollagen-Dと高い相同性を示すものも得られた。現在、これらの組み換え体の作製を行っている最中である。
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