2005 Fiscal Year Annual Research Report
貝類の外套膜に注目したバイオミネラリゼーション機構の解明
Project/Area Number |
04J01272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 雅哉 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオミネラリゼーション / 外套膜 / 貝殻 / クモ糸 / マガキ / 炭酸カルシウム / 有機基質 / トランスポーター |
Research Abstract |
昨年度の研究により、貝殻形成の場である外套膜辺縁部にのみ発現する複数の遺伝子断片のクローニングに成功していた。 今年度、それらの遺伝子全長のクローニングを行なったところ、2種のクモ糸様タンパク質のクローニングに成功した(クローン5、クローン34)。クローン5はアメリカジョロウグモの粘着糸と、クローン34はハイイロコケグモの牽引糸と高い相同性を示した。クローン5は20残基からなる繰り返し配列を有しており、クローン34はアラニンが8〜10個連続しているポリアラニンブロックを複数有していた。これらの遺伝子の発現部位をRT-PCRにより調べたところ、両方とも外套膜辺縁部でのみ発現していることが確認された。また、貝殻再生過程において、mRNA発現量が増加した。外套膜辺縁部は貝殻形成に関与する複数のタンパク質の分泌が行なわれる部位とされていることから、これらの遺伝子が有機基質として機能する可能性を示唆している。 本年度の研究目的の一つであった大腸菌・あるいはバキュロウィルス発現系による組み換え体の作製は成功しなかった。そこで、クローン34において存在した繰り返し配列を含む17残基のペプチドを合成し、合成ペプチドを抗原として抗体を作製した。ウェスタンブロット分析の結果、シグナルを得ることはできなかった。このことは、合成ペプチドを抗原としたため、十分な力価の抗体が得られなかったものと考えられる。最近、発現用ベクターの変更などにより、大腸菌発現系による組み換えタンパク質に成功した。現在、この組み換え体を抗原とした抗体を作製中である。
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Research Products
(1 results)