2004 Fiscal Year Annual Research Report
外因性内分泌撹乱物質の胎盤毒性の評価法創出のためのオーファン受容体の役割の解明
Project/Area Number |
04J01276
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 哲 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 外因性内分泌撹乱物質 / ビスフェノールA / オーファン受容体 / GPRC5B / 胎盤 |
Research Abstract |
採用時までに、妊娠したマウスを用いた実験で、低用量(2μg/kg)のビスフェノールA曝露により胎膜でのGPRC5Bの発現量が変化することと、変化のメカニズムには胎仔の性に依存する違いがあること、胎盤では変化が見られないことを明らかにした。本年度は、胎膜でのGPRC5Bの発現量の変化が胎盤・胎膜を介した母胎間の情報伝達に与える影響を明らかにすることと胎仔発生に与える影響を明らかにすることを目的に、主にGPRC5Bの発現部位の特定を行った。免疫組織化学的な解析の結果、胎盤においては、脱落膜、巨細胞、海綿状栄養膜細胞、迷路部栄養膜細胞に発現するものの、グリコーゲン細胞、血管内皮細胞には発現がみられなかった。また、胎膜においては、羊膜には発現せず、卵黄嚢臓側内胚葉細胞に発現することがみとめられた。胎齢17.5日の胎仔においては、副腎、下顎腺腺房部、膵臓外分泌腺部に強い発現が、下垂体後葉、脊髄、腎尿細管に中程度、脳に弱い発現がみられた。副腎、膵臓、下垂体、脊髄、腎臓における発現は成体ですでに知られており、胎仔でも同様であることが分かった。また8週齢のマウス下顎腺腺房部にも強い発現がみられた。一方8週齢のマウスでは海馬に強い発現がみられたが胎齢17.5日の胎仔の海馬には発現していなかった。さらにGPRC5BのmRNAは精巣に発現することが知られているので、8週齢のマウス精巣におけるタンパクレベルの発現を調べたところ生殖細胞に発現し、精子では体部に局在することが明らかになった。以上の様な結果から、GPRC5Bは胎盤、胎膜においては母体からのシグナル受容に関与すること、生殖においても何らかの役割を担うことが示唆された。GPRC5Bの生理的機能を明らかにすることは外因性内分泌撹乱物質が胎盤・胎膜を介した母胎間の情報伝達に与える影響を評価するうえで有用である。
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