2005 Fiscal Year Annual Research Report
木質バイオマス資源を用いたポーラスナノカーボン材料の創製
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04J01280
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒崎 文雄 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 木質炭素化物 / 炭素構造 / 昇温速度 / 急速熱分解 / 多孔質材料 |
Research Abstract |
本年度は、「触媒および水熱条件下で調製された急速熱分解木質炭素化物の構造解析」をテーマに研究を遂行した。急速加熱法により調製した木質炭素化物の炭素構造は、低速加熱法を用いた場合と比べて、炭素六角網面およびその積層構造が発達する。そこで、炭素構造を発達させる触媒の添加、あるいは水熱条件下で、急速加熱法を用いた場合の相互作用を検討した。炭素六角網面の積層構造形成の触媒となるFe、NiやCoを少量添加することで、低速加熱法に比べ、急速加熱法の方が10分の1程度の添加量で同等の触媒効果が得られた。また、水熱条件下でも同様の効果が得られた。しかし、触媒や水を多量に投入すると、主反応であるラジカル反応が阻害され、急速加熱法による炭素構造変化は見られなくなった。これらの研究結果は、国際学会6th International Wood Science Symposium(バリ、インドネシア)、および第3回木質炭化学会研究発表会(東京)にて研究報告を行った。 以上の研究結果に加えて、急速加熱法を用いて調製した木質炭素化物のマクロポーラス性について検討した。マクロポーラス炭素材料は、高電気伝導率、軽量、耐熱・耐薬品性など優れた特徴を有し、吸着材や触媒担体の基盤材料として有用である。マクロポーラス炭素材料の合成は、一般に、ポリウレタン等の多孔体材料や、セルロース等の繊維材料に熱硬化性樹脂等に浸透・硬化させ、炭素化する複数の工程から成る。急速加熱法を用いると、単一の工程で、3Dネットワーク構造体を有するマクロポーラス炭素材料が得られることが上記の研究から示された。そこで、そのポーラス性を分析した。これらをまとめ、雑誌論文として「Macrostructure Wood Carbon structed by 3-dimentional members」としてCarbonに投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)