2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミカンソウ亜科における絶対送粉共生系の起源、多様化、および維持機構
Project/Area Number |
04J01284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川北 篤 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カンコノキ属 / Epicephala属 / 絶対送粉共生系 / オオシマコバンノキ属 / コミカンソウ属 / 分子系統解析 / ホソガ / 共種分化 |
Research Abstract |
コミカンソウ亜科カンコノキ属の花はそれらの子房に特異的に産卵する雌のEpicephala属ホソガによって送粉されている。ホソガの幼虫は発達途中の胚珠を食べて成熟するが、種子の一部は食われず残るために両者は巧みな相互依存関係にある。こうした関係は「絶対送粉共生系」と呼ばれ、自然界ではきわめてまれな共生系である。本年度は、カンコノキ属で見られた絶対送粉共生系の起源を明らかにするため、カンコノキ属に近縁な植物における送粉様式を幅広く調査した。その結果、オオシマコバンノキ属およびコミカンソウ属の一部の種においても、カンコノキ属で見られたような特殊な送粉様式が存在することを明らかにし、その成果を報告した。またコミカンソウ属は世界に800種以上が知られる大きな属であるが、これらの中にはホソガによって送粉されるもの以外に、多様な送粉様式を持ったものが多く存在することを明らかにした。現在はこれらの生態学的知見の得られた種について分子系統解析を行い、絶対送粉共生系の起源に関しての解析を進めている。 これらの研究と並行して、カンコノキ属における種多様化の過程に関する解析を行い、その成果を報告した。世界に約300種が知られるカンコノキ属植物は、それぞれが種特異的なホソガと密接な関係を結んでいる。そこで両者の種分化がどれほど協調的に起こったかを明らかにするため、分子系統解析および共種分化解析を行った。これらの解析から、ホソガによる寄主転換はまれに起こっているものの、カンコノキとホソガの種分化はおおむね協調的で、共種分化が起こっていることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Nonuniform concerted evolution and chloroplast capture: Heterogeneity of observed introgression patterns in three molecular data partition phylogenies of Asian Mitella (Saxifragaceae).2005
Author(s)
Okuyama, Y., Fujii, N., Wakabayashi, M., Kawakita, A., Ito, M., Watanabe, M., Murakami, N., Kato, M.
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Journal Title
Molecular Biology and Evolution 22
Pages: 285-296
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